「本当は、美容師さんがいいけどね」
介護施設で、床屋さんに散髪しもらってスッキリした女性にお尋ねすると、少なくない方がそう答える。
(床屋さん、以下、理容師さんで)
こういう場合、通常、選択肢がないのだ。
理容師さんが施設に来る。(訪問理容)
●日に来る。
そこで、切りますか、どうしますか。
選択肢というと、切るか否か、それだけ。
話を進める前に、ここで、声を大にして、お断りしておきます。
今回のネタは、理容師さんよりも美容師さんがいいとか、そういうことを論じているのでは毛頭ありません。(ぼくも、人生の大半は理容師さん派ですし)
では、戻ります。
施設のみならず、カラダが弱ってきて行動範囲が狭まると選択肢がないのです。
あったとしても少ないのです。
ヘアカット一つにしても、普通は、
理容師さんに切ってもらう、それとも美容師さん?
そもそも切りたいの、どうなの?
いつにしようか?
来てもらう、それとも行く?
どういう髪型にしてもらおうか?
普通、こういうことをイロイロ、グルグル考えながら、選択していきますよね。
選択自体が楽しい場合もあれば、しんどいばあいもあれば。
でも、いずれにせよ、人生って、選択の連続だと思うのです。
それが、選択肢がない、となればいかがですか??
僕のところ(施設)では、友人の美容師さんにいつもお願いしています。
理容師さんがいいという方もいるのだと思いますが、ここはあえて美容師さんで。
美容師さんがいいという女性陣の声をもとに。
女性はより美しく、男性はかっこよくねとお願いして。
こんなこともありましたよ。
この前、行きつけの美容室に、患者さんを連れ出して行ってきて。
長らく行ってないというので。
僕もちょうど行きたいと思ってたところだから一緒に行きますか、と。
話が少々それました。
介護現場は、効率を重視しているのかもしれません。
効率という名のもとに、選択肢が排除されてゆく。
もしかして、そういうことかも。
選択肢がない人生は、なんともモノクロだ。
百歩譲って選択肢が事実上ないのだとしても、やはり選択していくというプロセスが大事だと思う。納得感をもって。
年をとったって、病気や障害があったって、僕らはいつまでも僕らだ。
選択肢がなくていい、周りが決めていい、ということはないはず。
選択肢を提示しよう。
〜オンラインサロンのご案内〜
総合診療をベースに、認知症治療と在宅医療、そして終末期医療に取り組んでいる、事象「患者バカ町医者」の松嶋大が、日々の実践をみなさんに共有し、またみなさんからも共有してもらいながら、これからの「医・食・住」を語り合うサロンです。