町医者 松嶋大ブログ

岩手県盛岡市で「なないろのとびら診療所」を運営する町医者・松嶋大のブログです。

偶然か奇跡か、必然か。にじいろタクシーがつなぐ時空の旅。

こういうのを、世間では、たいてい偶然もしくは奇跡と呼ぶのだと思う。

 

 

去る5月13日、とある、とっても大好きな患者さんを見送った。

この方との思い出が尽きないが、一番の思い出は「にじいろタクシー」を創業するきっかけとなったこと。

 

4年くらい前、初めて会った。

病状が思わしくないので、隔週で通院されることを提案した。

 

「ここの診療所は楽しいところだから本当は毎週でも来たいけど、通院にタクシーを使って、往復5千円はかかるから、隔週というのは難しいわ」

 

というご返答だった。

「では、うちのスタッフが無償で送迎しますよ」と提案するも、「それは申し訳ない」と首を縦に振ることはなかった。

 

ここで、にじいろタクシーの創業を決断した。

悪いことはできないけど、福祉車両扱いだったり、ハイヤー(貸し切り)だったり、何かしらの形で、サポートしようと思った。

 

「楽しい診療所」とおっしゃってくれるのが、何よりも嬉しく、もっと元気になっていただくために、その楽しい診療所に何度も来ていただきたいと思った。

 

新しく創る、にじいろタクシーで。

 

しかし、時間は残酷だ。

タクシー創業に時間がかかった。

しかし、病状の悪化は待ってくれない。

 

にじいろにやっと認可が降りたときには、無情にも時間は過ぎ去り、この方は、通院を断念し訪問診療となっていた。

 

そんな折、末期がんを患っていた私のばあちゃんが、冥土の土産にと言ったかどうかは定かではないが、某名店のラーメンを食べたいという話になった。

じゃあ、ということで、できたてほやほやのにじいろタクシーの第一号乗客になってもらおう、という話に。

 

それが、2017年5月13日。

この写真。

第一号よろしく、テープカットまでして。

 

にじいろタクシーの創業のきっかけとなった方が亡くなったのは、2020年5月13日。

亡くなった直後に、にじいろのことがすぐに浮かんで、そういえば第一号はばあちゃんだったなぁと思い出して、写真を調べたら、なんと同日の3年前!

 

こういうのを、世間では、たいてい偶然もしくは奇跡と呼ぶのだと思う。

 

でも、ぼくは必然だと思うなぁ。

長く、大きな物語の、欠かせない一つ、一つの、小さな物語だと。

 

大好きな患者さんを泣く泣く見送った日に、やはり大好きだったばあちゃんに再会する。

時空を、にじいろタクシーがつないでくれた。

悲しく、嬉しい一日となった。

 

 

世の中に奇跡など、きっとない。

おそらく、いずれもが必然なだと、僕は思う。

 

その必然を掴むこと。

数少ない、私の得意技なのです。。

 

 

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総合診療をベースに、認知症治療と在宅医療、そして終末期医療に取り組んでいる、事象「患者バカ町医者」の松嶋大が、日々の実践をみなさんに共有し、またみなさんからも共有してもらいながら、これからの「医・食・住」を語り合うサロンです。

 

 

 

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2017年5月13日、にじいろタクシー