映画「フィールド・オブ・ドリームス」で、シューレス・ジョーがレイ・キンセラ(ケビン・コスナー)に言い放ったフレーズです。
ガツンときました。
相当な勢いで。
自分ごととして。
僕は、もともとは、僕の得なんか考えずに、ひたすら目の前の方に最善を届けることだけを考えていたはずでした。
はずでした。
ところが、最近はどうだろう。
小さくまとまっていないか。
相手のことではなく、”僕の得”を考えていたのではないか。
そんなことが、わずか1秒程度のフレーズにも関わらず、僕に無数の問いかけをしてくれたようで、はっきり、いやすっきりと目が覚めました。
奇しくも、同じ時期、ゆきのいろ(看護小規模多機能)を創業するきっかけ、原動力となった方を、”無事に”見送ることができました。
なぜ、”無事に”なのか。
僕が長く主治医を努めていた、この方を、いかに送り出すか。
失礼いや誤解を恐れず申せば、僕は、主治医になってしばらくして、少しずつ老衰が進み、少しずつ判断能力が失われていく中で、ずっと考えていました。
その結論は、施設ではなく、あの自宅で旅立つこと。
きっと、そうなのだと思っていました。
なぜ、そう思ったのか、はっきりとは分かりません。
でも、きっとそうだと思ったのです。
(私の独りよがりではないと信じます)
では、どうやって、自宅から旅立っていただくかを考えた結果、看護小規模多機能(=ゆきのいろ)しかないという確信にいたり、じゃあ創ろうじゃないかと思い立ったわけです。
だから、ゆきのいろは、この方のためだけに立ち上げたといっても過言ではないのです。
そうです、ただ一人のことを考えて。
今回、ゆきのいろ創業の最大にして、唯一のミッションを無事果たすことができました。
だから、”無事に”だったのです。
この方のためにだけ創ったゆきのいろは、今は、多くの方の在宅生活を支えるまでに立派に成長しました。
たった一人の目の前の方のための行動が、結果、多くの方の支えになっている。
順番としては逆であるべきという声もたまに聞かれますが、僕はこれでいいのだと思っています。
だって、不特定多数の方のための行動には、情熱が湧き難いのです。
本当によく知っている、その方のためにだったら、情熱も溢れんばかりですから。
一人の幸福が、世界の幸福に繋がってゆく。
悪くないと思いませんか!
そうそう、フィールド・オブ・ドリームスにて、こんなフレーズもあって、心に響きました。
”最後までやりとげろ”
珍しく、最近、途中で折れそうでした。
やはり、やり続けなければいけない。
そう思い直しました。
僕は、”僕の得”を考えずに、最後までやりとげようと思います。
あの方と、映画で、決意を新たにした町医者です。
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総合診療をベースに、認知症治療と在宅医療、そして終末期医療に取り組んでいる、事象「患者バカ町医者」の松嶋大が、日々の実践をみなさんに共有し、またみなさんからも共有してもらいながら、これからの「医・食・住」を語り合うサロンです。