町医者 松嶋大ブログ

岩手県盛岡市で「なないろのとびら診療所」を運営する町医者・松嶋大のブログです。

最後に大きな仕事ができた

2019年3月10日から、ちょうど一年が経ちました。

 

チュウゾウさんが、子どもたちを含む市民を前に、ご自分自身の戦争体験(従軍経験)を語ってくれた日です。

 

 

それから、数ヶ月ののち、旅立たれました。

 

旅立ちの数日前、僕は、チュウゾウさんにお尋ねしました。

「どんな人生でしたか?」

 

僕は主治医だったのです。

チュウゾウさんは、もう目も開けられないほどに弱っていました。

でも、間髪入れず、しっかりした声で答えてくださいました。

 

「楽しかった。最後に大きな仕事ができた」と。

 

大きな仕事?

そうです、3月10日の講演会のこと。

企画した僕へのねぎらいの言葉だったのかもしれませんし、本音だったのかもしれません。

 

でも、僕は、本音だったと思います。

信じたいというよりも、とにかくそんな感じがします。

どちらにせよ、嬉しかった!

 

 

ところで、先日、母校・仙北小学校での6年生への授業で、チュウゾウさんと僕との物語を話しました。もちろん、「最後の大きな仕事」についても。

 

授業から数日後、授業の感想文が届きました。

100名を超える子どもたちからです。

 

感想文の中に、チュウゾウさんという文字がたくさん。

出会ったこともないおじいさんのことを、子どもたちが語るんですよ。

嬉しかったなぁ。

 

人間はいつか亡くなるけれども、こうして、物語は残っていくんですね。

子どもたちも、僕が見せた写真でしかチュウゾウさんのことを知らないのですが、確実に、子どもたちの心の中に何かが残ったようです。

 

物語が残り、繋がっていくこと。

時空を超えて、世代を超えて、地域を超えて。

 

僕のライフワークです。

大好きな患者さんから物語をお聞きして、できれば一緒に物語を作る。

それら物語を聞くだけでなく、残して、繋いで。

何より忘れず憶えておくこと、物語を。

 

 

そうそう、チュウゾウさん曰くの最後の大きな仕事。

参加されたみなさま、チュウゾウさんの語りと物語に、とても熱心に耳を傾けてくださいました。

参加された方々にも、物語が繋がっていきました。

 

 

まもなく、日付をまたぎます。

3月10日の残りの数分、チュウゾウさんと物語の尊さに、あらためて想いを馳せたいと思います。

 

 

 

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講演会風景