町医者 松嶋大ブログ

岩手県盛岡市で「なないろのとびら診療所」を運営する町医者・松嶋大のブログです。

地域の中にあるということ 

地域の中にあるということ。

  

私の構想の中核概念でありながら、十分に言語化できていないこと。

今回は、このテーマに自ら迫ってみたい。

 

 

先日、保健室事業(暮らしの保健室もりおか)を終えました。

 

結局、ここ数ヶ月、私にとって核心的事業であったものを一気にたたみました。

保健室事業のほか、定期巡回、通所介護です。

 

要するに、介護事業と福祉事業からの撤退。

 

思い返すと、介護サービスが必要だと思って、2015年4月に独立。

それが、今や不要と思っているわけですから、人生って実に面白い!

 

 

さて、地域の中にあるということ。

 医療機関や事業所が地域の中に普通にあること。

 

きっと、ちょっと前まで、いろいろなものが地域の中にあったのだと思います。

八百屋さん、魚屋さん、酒屋さん、床屋さん、なんでも。

店屋さんで交流があり、路上では日常的に井戸端会議があったり。

 

今や、大規模スーパーだったり、コンビニだったり、地域にありながらも地域の中にないものがありふれたように思います。

地域の会話も、交流もほとんどない場。

 

医療機関は、きっとその最たる例。

普通に地域にはあるけれども、明らかに敷居が高く、具合が悪いときだったり、お薬が必要なときだったり以外には実に近寄りがたい場。

 

だから、医療側は、「地域に飛び出る」「診察室を飛び出そう」「地域に寄り添う」「地域とともに歩む」なんていう言葉が出るんです。

この表現にとどまっているうちは、医療は地域の外にいるんだと思います。

 

 

僕は、普通に地域の中にいたい、地域の一員として。

病気の有無によらず、いつでも、診療所に普通に遊びに来ていただきたい。

お医者さん相手だからと構えられることなく、何かあれば、いつでも、普通に相談していただきたい。

地域の催し物で、医者や医療機関にできることがあれば、いつでも、普通に声をかけていただきたい。

 

 

地域の中には、資格にとらわれない、様々な専門家がいます。

 

例えば、

地域のことなら何でも知っている物知りという専門家。

野菜のことなら八百屋さんという専門家。

地域の平和を守る駐在さんという専門家。

もっともっと、すべての住民が何かしらの専門家。

 

医師だって同列。

地域の中に普通にいる専門家の一人。

 

せっかく地域の中にいるのだから、地域の中で、一人の住民として、普通に活躍したい。

 

 

患者・医師関係が、どこかギクシャクした昨今。

 

医師の敷居の高さもさることながら、住民が一歩後ずさりしているような気がしなくもない。

医師も一歩踏み出し、住民も一歩踏み出し、手と手を取り合って、健康という幸福のためにともに歩みたい。

これが僕の目標の一つ。

 

この実現のために、地域の中にあるということ。

 

 

なんだか、まとまりがなくてスミマセン。

 

 

 

 

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写真はオークフィールドで5月に開催した風の楽園まつり。

 

オークはしばらく地域にとってとても敷居が高い場所でしたが、最近、少しずつ雪解けしてきた印象です。

様々な方が立ち寄られるようになり、オーク・レストラン棟(オークテラス)がちょっとした地域のようになってきました。

 

このオークの地域化を目の当たりにして、介護や福祉事業からの撤退を決断しました。

介護や福祉を謳ったいる間は、地域の中にあることができないと思ったからです。

 

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オークでの風の楽園まつり

 

旗から見れば、フラフラしていると映るでしょうね。

一応、申し上げておきますと、一切フラフラしていません。

理念もビジョンも一切揺るがないからこそ、日々の戦略、戦術を変幻自在にしているということです。

事業に一切の失敗はなく、すべては前進のための礎となります。

 

 

今回、撤退した事業は、いわば、地域の中にとどまらせない懸念がありました。

保健室は、地域から医療や介護の世界へ引っ張ってしまう懸念。

定期巡回や通所介護は、地域からむしろ隔絶させる懸念。

 

すなわち、私のモットーである「地域の中にあること」から遠ざかっていく印象があり、結果、患者さんや利用者さんに最善を届けていないと確信したので、それぞれの事業から撤退したんです。