町医者 松嶋大ブログ

岩手県盛岡市で「なないろのとびら診療所」を運営する町医者・松嶋大のブログです。

割が合うとか、合わないとか。

割に合うとか、合わないとか、そういう基準で考えることはない。

 

 

やりすぎだと言われたり、きれいごとだと言われたり、脅迫的(+強迫的)だと批判されたり、散々だ。

 

しかし、私の耳は案外うまくできている。

批判や非難は、私の耳には入ってこない。

とにかく選択性の高い耳!

 

(じゃあ、なんで知っているのと気づかれた方さすが。スタッフが丁寧に教えてくれるんですよ)

 

 

 

さて、二百キロ先の方と先日お別れした。

 

新幹線や電車を乗り継いだり、車で行ったり。

道中は長いが、この先に、あの人が待っていてくださると思えば、不思議と力が湧くものだ。

 

なにせ、「よく死んでくださいね」と約束した紳士である。

隣近所だろうが、地球の裏側だろうが、駆けつけないわけにはいかない。

 

有り体、いや使い古された言葉を使うと、男と男の約束でもあるから。

 

緩和ケア含め医療も最善を尽くしたつもり。

人生の言葉もお聞きできた。

お別れの言葉も伝えることができた。

 

生前最後にみせてくれた、一瞬のニヤッとした表情。

すべてを洗い流してくれた。

 

 

最期のとき、圧倒的に穏やかな顔を前に、家族の前で、つい「良かった」とこぼしてしまった。

一瞬で我に戻って、家族には謝罪した。

死んで良かった、ということはないから。

 

ただ、言い訳を許してもらえれば、最晩年、楽じゃなかったはず。

その苦悩から解放されたことに、つい。

 

 

 

ところで、二百キロを超えて駆けつけた私を褒めてほしいとは全く思いません。

二百キロ先でも駆けつけたくなる、彼と私の関係性に着目いただけたらと思います。

彼がそれだけ、私のこころを揺さぶったわけです。

あんなに揺さぶられたら、それこそ倍返ししなきゃいけないでしょう。

それが、町医者っいうもんですよ。

 

 

割に合うとか、合わないとか、そういう問題ではないんです。

私自身のあり方、つまり信念の問題です。

 

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